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ロシアで売春合法化の動き


ロシア議会(ドゥーマ)で売春合法化にかんする議論がなされているそうだ。目下のところその是非について論議するというもので、即法案議決と言うことではないらしいが、合法化についての同意が広がれば、法案化され、場合によっては国民投票を経たうえで、実施される可能性があるという。

ロシアでは、買春はアングラで行われており、すでに大規模産業になっているとまで言われる。というのも、ロシアの法律では売春を非合法としながら、違反に対しては極めて寛大なのだ。売春が摘発されても、1500-2000ルーブリ(1ルーブリは日本円で2円台)の罰金を払えばすむし、第一警察は売春の摘発にそんなに熱心ではない。

だから、買春を合法化するといっても、国民に対して積極的に売春を勧めるというようなことではなく、今行われている売春を国家統制の対象にすることで、買春秩序の確立に資するという発想らしいのである。(いかにもプーチン的だ)

買春合法化に賛成する勢力が主張する理屈には二つある。一つは売春を性産業サービスとして公的に位置付ければ、それに課税できるということである。売春市場は非常に大きいから、税収もバカにならないはずだとの打算がある。

もう一つは、買春を合法化して政府の統制下に置くことで、売春婦(夫)の健康管理がスムーズに行われ、性病の蔓延が防げるというメリットがある。やりかたとしては、健康診断で健全だと認めた売春婦に限って売春免許証を発行するなどが考えられる。その免許証がなければ売春はできないようにすれば、客も、性病にかかっていないパートナーを相手に、安心して性的快楽に耽ることができるというわけである。

これに対しては当然、反対意見もある。売春を合法化すれば、ロシア中に売春婦(夫)が溢れ、それを目掛けて世界中からスケベな連中が集まってくる。その結果ロシアは非常に不健全な社会に陥る可能性が強い。また、政府による統制を強化しても、その統制を免れたところでアングラビジネスが生き続けるのは歴史が証明してきたところだ。売春免許証を貰えない連中は、こうしたアングラ市場で生き残って性病をばらまくに違いない。政府による統制売春など、倫理的にも理論的にもナンセンスだ、と反対者たちは主張するのだ。

(参考)New Russian motto: Legalize prostitution - collect taxes :English Pravda(写真も)





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