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ロシアの反プーチン・デモ


3月4日の大統領選挙を1か月前にした2月4日(土)、反プーチン・デモが三たびモスクワのボロトナヤ広場を埋め尽くした。市警察当局の発表では3万6000人、主催者の発表では12万人が、凍るような寒さの中で、デモに参加した。

一方プーチン陣営の方でも、このデモに対抗してプーチン支持デモを組織、当局の発表では13万人を集めた。プーチン支持派は、反プーチン・デモをアメリカの手先による陰謀だと叫び、ロシアにはアラブの春もオレンジ革命もいらないと叫んだ。

昨年の12月4日に行われた選挙で不正があったことへの抗議として始まったこのデモは、いまでは反プーチンを明確に掲げるに至った。しかし、核となる組織者がいるわけでもなく、何を目的にしているかも、いまだに不明確なままだという印象はぬぐいきれない。ただ単に、プーチンへのノーを突きつけるだけで、その代わりに何を求めているのかについては、何もいえていない。

でも、今から半年前には、こんなデモが起きると自体、誰にも想像できなかったことだ。プーチン自身も、まさか民衆の大規模な怒りが自分に向けられるなどとは思っていなかったに違いない。それを考えれば、こうした動きが出てきたことを、ロシアの変化の兆しとして受け取るべきなのかもしれない。

いまのところ、3月4日の大統領選挙で、プーチンに勝てる見込みのある候補者はいない。プーチン以外に4人が立候補しているが、どれもプーチンを勝たせるための捨て玉のように思われている。だから選挙への関心は、プーチンが勝つかどうかではなく、プーチンがどんな勝ち方をするかだ。第一回目の投票ですんなり勝つようだと、ふたたび選挙違反への疑問が浮上しかねないし、かといって二回目の投票にもつれ込んでも、反プーチン派が勝つ見込みはないといってよい。

このデモが3月4日の選挙には直接の影響を及ぼさなくとも、プーチンの政治スタイルには一定の影響は及ぼせるはずだ、そう参加者の多くは考えているようだ。だから決して無駄にはならない。何もいわない、何もしない、よりは、何かをいい、何かをした方がいいのだ。

とにかくプーチンが復活することへのロシアの民衆の嫌悪感は相当のもののようだ。彼らは言う、メドヴェージェフはロシアの民主化を云々したが、結局は何もやらなかった、プーチンはそもそも民主化について何も語らない。だから我々が動くことで、プーチンに何かを云々させるようにしようではないか。これが参加者の多くに共通する考えのようだ。(写真はNYTから)

(参考)In Biting Cold, Protesters Pack the Center of Moscow By ELLEN BARRY and ANDREW E. KRAMER WP





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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