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プーチンはロシアになくてはならい男か?


プーチンが、自身のウェブサイトとイズヴェスチアに同時に、3月4日の大統領選に向けての決意表明を発表した。「自分はロシアにとってなくてはならない男だ」、決意表明はこの言葉で始まっている。

何故なら、ロシアはスタグフレーションと社会の不安定化という二重の危機にさらされている。その危機を乗り切れるのは自分をおいて他にはいない、というわけだ。自分はロシアの指導者として、ロシアの安定と発展、そしてチェチェン危機のような困難な問題を克服してきた。ロシアがここまで繁栄してきたのは、自分の力があったからこそだ。今後もロシアは自分を必要としている。プーチンの熱い訴えは続く。

一方で、昨年暮れにロシア中に吹き荒れた民衆の抗議運動には一言も触れなかった。そのかわり、革命を目指す者はロシアを今以上にみじめにするだけだ、という一般論を述べて、反体制運動を牽制した。またそれらの反体制運動が、アメリカの思惑に躍らされているとも示唆した。

だがプーチンと云えども、デモクラシーの価値に反駁することはできない。デモクラシーとそれを支える中間層の成長こそが、ロシアの未来を良くする原動力だともいった。

ほかならぬその中間層が今回の抗議運動の担い手であり、彼らの求めているのがデモクラシーの徹底だということを、プーチンは余りわかっていないのかもしれない。彼にとってデモクラシーは権力が人民に許容する一種の恩恵にすぎない。しかし今回民衆が求めたのはそんなことではない。

民衆の意図は、腐敗にまみれたろくでもない政府にノーを突きつけ、真の民主主義を実現することだった。プーチンは、その腐敗したろくでもない政府の権化である、民衆はそう思っているからこそ、プーチンは出て行け、と叫んでいたのだ。





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