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朝露首脳会談の思惑


北朝鮮の金正日大将軍とロシアのメドヴェージェフ大統領がシベリア中部の都市ウラン・ウデ近郊で2002年以来という朝露首脳会談を行った。金正日は例のお召し列車に乗ってシベリア平原を長旅し、国を出て4日目にウラン・ウデに到着した。

どちらから会談を持ちかけたかわからぬが、両国ともこの時期に会談を設定することにはそれなりの利点があった。北朝鮮はジリ貧の経済を立て直すためにロシアの援助が欲しいし、ロシアのほうも東アジアへの経済進出に北朝鮮を役立てたいという思惑があった。

聞こえてくる会談の成果は主に経済的な内容だ。ロシアは韓国向けの天然ガスのパイプラインを、北朝鮮を経由して敷設する。北朝鮮はこのおこぼれにあずかるとともに、パイプライン用地の賃貸料を受け取るというものだ。ロシアは又、北朝鮮への緊急援助として穀物5万トンの無償譲与を約束した模様だ。

会談では6カ国協議の再開についても話し合われたようだ。金正日は前提条件を一切つけずに協議に参加する用意があると述べたらしい。だが、この言葉が何を意味しているかについては、解釈が分かれる。北朝鮮側から何も条件をつけないと意味と、アメリカ等が北朝鮮に対して余計な条件をつけないという意味と、この二つだ。

北朝鮮の本意はどうも後者らしい。韓国は今年2月に起きた船舶撃沈事件やヨンビョン島への砲撃に関して、北朝鮮が謝罪しない限り話し合いには応じないという態度をとってきたが、そんな下らぬ言い分は引っ込めろということらしい。

このほか、朝露間には主にソ連時代に発生した債務問題が残っている。ロシアは北朝鮮に対してまず債務があることを認めさせ、その上でその返還方法について協議したいとする姿勢をとってきたが、今回この問題が議題に上ったかどうかについては、明確に聞こえてこない。(写真はAFPから





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