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セックスは汚職の敵 Sex against Corruption


カレンダーと云えば普通、年末に配るというのが常識だが、あえてこの時期に配布されることとなったカレンダーがある。プーチンの私的親衛隊として知られる若者団体「ナーシ(Наши)」が作成したものだ。タイトルには「セックスは汚職の敵(Sex against Corruption)」とあり、セクシーな女性たちが汚職役人を糾弾するという勇ましいデザインが施されている。(写真はAFP)

ロシアでは現在、プーチン首相の大号令のもと、汚職撲滅運動が進んでいる。ロシアの役人は世界一汚職に弱いといわれており、それが行政の公正さや効率性を著しく損なっているとして、プーチン自ら汚職をした役人の摘発に乗り出し、かれらに厳罰を科すことで、汚職を撲滅しようと躍起になっている。その背景には、汚職がはびこる風土は、後進国である証拠だという観念がある。スターリン時代から大国を目指してきたロシアにとって、後進国の特徴はことごとく排除したいわけだ。

「ナーシ」はプーチンを礼賛するために自然発生的に生まれた若者の右翼団体で、最近の民族主義運動の高まりを背景に、政治的な発言力を強めてきた。その彼らが汚職撲滅運動の先頭に立ち、時宜に反してまで啓発カレンダーを配ろうというのであるから、ロシア人の汚職が一筋縄では解消せず、撲滅へ向けての強力な推進力を必要としていることを物語っているのだろう。

なおカレンダーのモデルを務めているのは、モスクワ市内にある大学の学生たちだそうだ。彼女たちは「汚職をする役人とは結婚しません」と宣言し、役人たちが心を入れ替えるように呼びかけているが、果たしてどこまで効果があるか、見守りたいところだ。





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