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ルシコフは厄介者か


メドヴェージェフによってモスクワ市長の座を追われたルシコフが、身の収めどころを求めて苦労しているそうだ。というのも、ロシア国内にいてもろくなことは予想できないし、といって快く受け入れてくれるところもないからだ。(写真はプラウダから)

先日はリガに移住したい旨ラトヴィア当局に申し入れたところ、厳しく拒絶された。ラトヴィアの内務大臣リンダ・ムルニーチェは、ヴァルディス・ザットレルス首相とも相談の上、ルシコフを受け入れるべきではない人物として、ブラックリストに入れたのだった。

ムルニーチェのブラックリストには、ヴラディーミル・ジリノフスキーやボリス・ベレゾフスキーといった反プーチン派の大物も含まれている。一説によれば、そのブラックリストに載っているロシア人の名前は5千人にものぼるそうだ。

ムルニーチェやそのボスのザットレルスがこんなブラックリストを作っている理由は、もちろんプーチンへの遠慮だ。ロシアの反体制派に甘い顔をして、プーチンににらまれるのが怖いのだろう。

ラトヴィア政府内にも、今回の措置について異論がないわけではない。防衛大臣のアティス・パブリクスなどは、政府を批判したからといって、移動の自由まで取り上げるのは生き過ぎだといっている。また、ラトヴィアの都市の一部には、ルシコフの財産を当て込んで、誘致をほのめかすところもある。だがそれらは少数意見にとどまっている。

ルシコフがラトヴィアに打診したのは、そこを足がかりにして、シェンゲン・ゾーンの特権を使い、ヨーロッパ諸国への脱出を狙ったからだと推測されている。

そこでヨーロッパ諸国の中には、ルシコフが直接入国を打診してくるかもしれないと、心配しているところもある。オーストリアは、ルシコフ夫人名義の不動産があることから、一番心配している口だ。

イギリスも、ルシコフの娘が留学している事情がある。両方とも、入国させたくないというのが、本音のようだ。ルシコフは、ロシア国内では無論、ラトヴィアでも西側諸国でも、当分厄介者扱いに甘んじるほかはないようだ。





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