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日本の漁業会社がロシアの役人に巨額の賄賂


北洋で操業している日本の漁業会社が長期にわたり不正経理を行っていたとして税務当局から摘発された。不正の中身とは、驚いたことに、北洋の漁場で割り当て分を超過した漁獲を得る見返りに、ロシアの国境警備当局の役人に対して、2009年までの3年間に5億円の賄賂を渡していたというものだ。

4社のうち三者は税務当局の指摘を受け入れたが、釧路に根拠を置く金井漁業は割り切れないといった反応を見せた。

自分たちはもう10年も前から、こうしたことをやってきた、別に不当な行為をしたわけではない、経理上も経費としてきちんと処理してある、別に隠していたわけではない、これを賄賂といわれるのは心外だというわけである。

摘発された4社は、ロシアの排他的経済水域でスケトウダラをとるほかに、北方領土周辺でも操業を行ってきた。そのさいの漁獲割り当ては、日露漁業交渉で定められている。これが近年減らされてきたことが、このような事態を招いた主な要因である。

ロシアの国境警備担当者は、日本の漁船に乗り込んで監視するシステムになっている。その役人たちを、件の4社が供応したり、船上で現金を渡したり、あるいは別途キプロスの銀行に送金したりする。その額が3年で5億円ということだが、実際は10年前から先日まで続いていたわけだから、もっと大きな額になるはずだ。

今回税務当局が摘発したのは、あくまでも税務上の不正行為に対してであって、賄賂の違法性についてはなんら判断していない。

金井漁業は、ロシアの役人相手では、金を与えなければ、万事スムースにいかない、いわば必要悪のようなものだ、といっている。彼らに渡す金を賄賂というべきかどうか疑義があるということらしい。

たしかにロシアの役人世界は賄賂の授受がビルトインされた世界として有名だ。要求するほうはそれがやましい行為だなどとは思っていない、職務に付随する当然の利得だと思っている。そんな彼らを相手に金の授受を行ったからといって、果たしてそれが賄賂に当たるのか、むしろ必要経費と認めてやるべきかもしれない。





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