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スルコフ(Владислав Сурков)の失脚


プーチンの側近中の側近として知られるヴラヂスラフ・スルコフ(Владислав Сурков)が副首相の職を解かれ、政治の表舞台から去ることとなった。スルコフと言えば、ナーシなど社会運動体の組織者として行動的な面を持つとともに、国家民主主義を唱えるなどイデオローグとしての側面も持つ。物理的にも理論的にもプーチンを支える懐刀だったわけだ。その男が何故権力の座から追われたか。

最も大きな要因は、彼が反プーチン運動を予測できず、またそれが発生した後有効に制御できなかったことだといわれている。それどころか彼は、こうした運動に理解を示したとさえ言われる。そんな姿勢にプーチンが怒りを感じたということらしい。

プーチンとしては、ロシア社会の安定を背景に中間層の幅広い支持を確保し、偉大な大統領としての名声を獲得しようと考えていた矢先、ナヴァーリヌィらに先導された反プーチン運動に直面して、たじろいだ形跡があるが、そのたじろぎに対して、スルコフはなんらなすところがなかった。つまり最も肝心な時に、親分であるプーチンのために手柄を立てることが出来なかったばかりか、プーチンの名声に泥をぬるお手伝いまでした、というわけなのである。

スルコフの後継者にはヴォロージン(Вячеслав Володин)が就くことになった。ヴォロージンはスルコフよりもさらに右寄りで、力まかせに権力を振るうことを除けば、政治哲学らしいものを持っていないとされる。そんな男が政治のキーパーソンになることで、ロシアはますます野蛮な体質に先祖返りしていくのではないか。事情通の間では、そんな憶測が強まっているそうだ。(写真はAFPから)





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