ロシア情勢を読む
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ロシアがアメリカに嫌われるわけ


ロシアはなぜアメリカに嫌われるのか、あるいはアメリカはなぜロシアを嫌うのか。この疑問をほかならぬロシア人が自問自答している。(プラウダ英語版の記事 What makes US politicians hate Russia? )

先日ソウルで行われた核サミットの場で、メドヴェージェフはオバマ大統領と会談したが、彼が最もこだわった話題は、アメリカがロシア国境に配置しようとしているABM計画だった。メドヴェージェフとしては、この計画はロシアの喉元にナイフを突きつけるものだと批判し、そんなことはやめて、お互い仲良くやろうじゃないかとオバマに言ったところが、オバマの方では、大統領選挙を控えている今は、そんなことは話題にできないよ、大統領選に勝ち残ったら、改めて話に乗るよと答えた。すると、メドヴェージェフは、「じゃあヴラヂーミルの兄貴に伝えておくよ」といったという話が、各国のメディアに漏れ伝えられた。

いまや予備選挙たけなわの共和党では、有力候補者の殆どが、この話題を取り上げ、ロシアに対するオバマの弱気な姿勢を攻撃した。攻撃の急先鋒は、穏健派として知られているロムニー氏で、「オバマ大統領は、ロシアがアメリカの最大の敵であるということを、忘れるべきではない」と批判した。穏健派のロムニー氏でさえこんな調子であるから、もっと保守的な候補者は、さらにあからさまにロシアへの嫌悪感を表明し、そんなにロシアに甘いオバマにはアメリカの国益を守る資格はないと強烈な批判を繰り出している。

たとえばジョン・マッケイン氏は、「ロシア政府は我々とはなんら共通する政治理念を持たない、それ故彼らが我々の友人になれるなど、とんでもないことだ、アメリカの外交政策の基本には、ロシアはアメリカの敵である、という前提が必要だ」といっている。

ロシア嫌いは共和党のみならず、民主党にも見られる。ロシアを敵視する民主党の議員はいくらでもいるし、民主党の外交政策に強い影響を与えているズビグニュー・ブレジンスキーも「アメリカを中心にした新しい世界秩序にあっては、ロシアはその秩序とは相入れない異分子であり、アメリカの敵である」といっている。

ことほど左様に、ロシアはアメリカによって嫌悪されているが、それがなぜそうなるのか、自分には理解できないと、このロシア人ただただ、ため息をつくばかりなのだ。(写真はロイターから)





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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