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ロシアと北朝鮮の合同軍事演習は何を意味するか

先日金正日大将軍とメドヴェージェフ大統領がシベリアで会見し、両国の友好関係の強化を確認しあったが、その成果が早速現れてきたということか。両国合同の軍事演習を来年にも実施する方向で一致したというのだ。

以上はロシアのインチェルファクス通信が配信した内容を読売が孫引きしたものだ。それによれば、ロシア東部戦略司令部のシデンコ司令官が8月に訪朝した際、北朝鮮側と合意したという。目的や規模など詳しいことは発表されていないようだ。

今のところ第三者がどうのこうのということはないようだが、内容が内容だけに安閑としてはおられぬ。

この合同演習が、今後の朝露関係の強化につながるとすれば、それは北朝鮮にとって非常に大きなメリットになることは間違いない。6カ国協議が中断して国際的な孤立を一層深めている北朝鮮にとっては、ロシアとの同盟強化はあらゆる意味で好ましい。日米韓の三国が北朝鮮を想定した軍事協力関係を深めている現在、とりわけ価値のあることだろう。

一方、ロシアの狙いはどこにあるか。表向きには、北朝鮮との関係を強化することで、北朝鮮を6カ国会議をはじめとした国際舞台に引き出す効果が期待できるなどと主張するだろうが、それとあわせて、この同盟が日本を想定したものであることは間違いない。

ロシアは、北方諸島の問題がクローズアップされて以来、日本に対してタフな態度をとり続けてきた。メドヴェージェフをはじめ政府高官が相次いで北方諸島を訪問し、実効支配を強化する意思を示しているほか、先日は爆撃機二機に日本一周という荒業を演じさせ、露骨に挑発するような出方をした。

ロシアのこうした対日本対決姿勢は、次の二つの点を踏まえているものと忖度される。

ひとつは、普天間問題で揺らいだ日米関係を値踏みしようとする意図、もうひとつは、日本が中国の進出に脅威を覚え、防衛の重点を南西諸島に移す結果、北方防衛が手薄になっているのではないか、そのことを確認しようとする意図があるのだろう。

ロシアは、日本との関係悪化を冷静に受け止めているフシがある。この関係悪化が軍事衝突に発展する可能性まで見据えている可能性もある。北朝鮮との同盟関係の強化は、日本を想定した軍事戦略としての側面を持っていることは、間違いない。

日本は、こうした動きをもっと真剣に受け止めるべきだ。日本にとっての本当の敵はロシアであるということを、忘れてはならない。





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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