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ロシアの汚職撲滅運動


先日、日本の北洋漁業関係者がロシアの役人に賄賂を贈っていたことが、日本国内ではちょっとした話題になったが、ロシアでも、相当の関心を呼んだ。というのも、この種の汚職を撲滅しようとする運動が目下行われている最中だからだ。

この運動を先頭になって指揮しているのは、ほかならぬメドジェージェフ大統領だ。彼は2008年に大統領に就任するや、役人による汚職の撲滅を、最優先課題に設定したほどだ。

だが運動の成果は、余りはかばかしいとはいえないようだ。メドヴェージェフ大統領は先週、汚職撲滅委員会のメンバーを前に、この運動が全く進んでいないのはどうしたわけかと追求し、その原因を究明し、徹底した汚職撲滅対策を講じるよう指示した。

国際統計によると、ロシアの汚職に関する清廉度は、2008年には178か国中146番目だった。賄賂天国として悪名高いコンゴ、パプア・ニューギニア、タジキスタンより低いランクだ。ところが昨年はさらにランクを落とし、154番目になってしまった。運動の効果がマイナスに出ているわけだ。

ロシアに汚職が多いのは、国民性だとする見方もある。たとえば子どもを幼稚園に入れたり、就職させたりするのに、親が役人に賄賂を贈るのは当然だと思われているフシがある。イタリアのバーテンダーがチップを受け取るような感覚で、ロシアの役人は賄賂を受け取っているというわけだ。

そこのところはメドヴェージェフにも十分にわかっているようだ。彼は役人が賄賂を貰ったり、職権を乱用するのは犯罪行為なのだということを、当の役人はもとより国民全般に理解させる必要があると思うにいたったらしい。

だがどんな方法で?そこがメドヴェージェフには悩ましいところだ。(写真はプラウダから)





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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