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売春の経済学:供給拠点オヂェーサ Одеса


かつて東欧の社会主義体制が崩壊したとき、真っ先に復活した伝統産業は売春だと指摘されたものだ。ソ連邦の崩壊後も、東部ウクライナなど貧困な地域では、売春産業が大規模に復活し、農村部から駆り集められた貧しい娘たちが、オヂェーサ Одеса から船につまれて、西欧やアラブの金満地域に売春婦として供給されたという。

近年は、暴力を背景にした強制的な売春は、さすがに衰退したらしい。しかしなくなったわけではない。

そのうえ、売春は貧しい娘たちにとっては、金を得るための貴重なチャンスでもあることから、ソフィスティケートされた形での売春が依然繁盛していると、TIMEの最新号の記事が伝えている。Prostitution: Ukraine's Unstoppable Export By Simon Shuster

この記事によれば、ウクライナの港湾都市オヂェーサは売春産業の一大拠点になっているらしい。東部ウクライナを中心として、モルドヴァやルーマニアからやってきた娘たちが、売春産業のルートに乗ってパリやアラブの金持諸国に運ばれていく。彼女らはナターシャと呼ばれ、中には高級娼婦として、相当な稼ぎをするものもいる。

今日の売春を一昔前と比較すると、暴力によって強制的に売春をさせられているケースが減少し、自分の意思にもとづいて自発的に売春をしているケースが増えているという。その背景には、貧困の新たな形態があるのかもしれない。しかしそのことによって、売春がアングラ化し、摘発されにくくなっている。

売春が摘発されにくいことのもうひとつの理由は、とくにオヂェーサの場合についていえば、権力が腐敗していて、警察が見てみぬふりをすることだという。警察は賄賂を目的に、売春産業にたかっている実態があるというのだ。(上の写真はTIMEから)





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